「当院は災害対策済みの為、診療所の電気と水が止まっても治療可能になっており、
その他にも発電機用のガソリンとペットボトルの水が有れば、
何処にでも運んで通常時と同じ治療が出来る機材は整っております。」
と書いたところ、詳細を知りたいとのメールを同業の先生から頂いたので
今回はそれにお答えしたいと思います。
先ずは一番目の質問の「何処にでも運んで通常時と同じ治療が出来る機材」ですが
個人的に絶対必要と感じているのが携帯式の歯科用チェアです。
一般のデンタルチェアの様に、ほぼ水平位まで背もたれを倒す事が可能で、
またしっかりとしたヘッドレストが装着されています。幾ら携帯型のエンジンや
タービンを持っていても、患者さんのアタマが固定出来なければ通常と同じ診療は
出来ません。 使用後はこの様に折りたたむ事が可能です。
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株式会社コマツ
埼玉県さいたま市南区白幡4-11-19
048-816-7800
簡易イス
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だそうです。
ユニットは米国a-dec(エーデック)社のPAC-1(パックワン)を使っています。
私はこれを車いすの方が来院した時の治療用ユニットとしても使用するために
購入しましたが、本来は「いつでもどこでもそこが診療室」
(その気になればジャングルの中でも)
がコンセプトで、米軍や自衛隊でも使われています。
a-decは圧縮空気を利用して動くために、コンプレッサーとそれを動かす程度の
電気量を賄う小型の発電機(2kWクラスで充分)が有れば何処でも使用可能です。
また上の画像は後ろ側を撮影した画像ですが、水は左側のボトルを介して供給し、
口腔内の唾液等はエアバキュームにより吸い出され、右側のボトルに溜まる仕組みに
なっているため、通常診療をそのまま再現する事が可能です。
日本の各社でもポータブルユニットは有りますが、これらは訪問診療が目的である事
が多く、災害時に於いて通常診療と同じ体制を取る事は難しいと思います。
逆に言うとPAC-1を訪問診療で使用するには、訪問先で電気をお借り出来たとしても
コンプレッサーが絶対に必要な事とPAC-1が重量的に不利なため、携帯性は国産品
より劣ります。
診療所の災害対策については次のブログに続きます。