2012年1月29日日曜日

BLSヘルスケアプロバイダーコース

今日、日本口腔外科学会主催のBLS(Basic Life Support 一次救命処置)ヘルスケアプロバイダーコースを受講してきました。今まで一般向けの2〜3時間位のショートプログラムは何度か受けていて、直近では去年の10月02日に市川病院麻酔科主催の一般講習会を受けたのですが、ステップアップしたカリキュラムを受けてみたいと思い、今回は医療従事者向けのコースに参加してみました。

今回は9:00〜17:00と丸一日使ったコースで、成人と幼児・乳児それぞれにおいて救助者が一人の場合と二人の場合の対処法とAEDの使用法、成人・乳児の窒息時の対応等々について座学と実習を行い、最後に実技と筆記試験で評価を受けるシステムでした。今までと違って履修時間が長かったのと4人で1グループと少人数だったので何度も反復練習する時間を取れた事、乳児に対する対応について知識を得る事が出来た事等々、非常に有意義な一日でした。しかし人間は普段使う事が無い手技・知識は忘れてしまうんですね。ですから、これから何度も何度もBLSに接し続けてアタマでは無くカラダが覚える必要を強く感じました。

あなたはもし目の前で大切な人が心肺停止状態になった時に適切な対応を取る事が出来ますか?  BLSを一度も受けた事が無いと言う方は一般向けでも良いので受講される事をお勧めします。あなたの迅速な対応で救えるかも知れない命が有る事を忘れないで下さいね。

P・S
2014年1月にBLSインストラクターへ昇格いたしました。

2012年1月17日火曜日

機材の使用について

今日では医療は色々な機材に囲まれて診療を行っていますが、私は機材に拘る事が好きで自分が考え抜いて納得した物を長く使いたい主義である事は以前のa-decの時にお話ししました。しかし機材そのものを自由診療への誘導の道具として使う気にはなれません。マイクロスコープが良い例で、自由診療にのみ使用している先生もおられますが、私はマイクロは常に使い続けて慣れておかないと自分の身体の延長の様になってくれないと考えます。この様な日頃の訓練が必須な機材においては私は自由診療・保険診療に係わらず自分が使いたいと思えば使用しています。

何百万円の優秀な機材でも人間側に使いこなすスキルが無ければ宝の持ち腐れです。だからこそ使う人間側がスキルアップし続けなければ、より良い診療へ繋がっていかないはずです。機材が治療する訳じゃ有りません。

残念ながら日本の保険診療では使える材料や技術が限られています。しかしだからといって機材や腕の出し惜しみをしているとスキルの上達は止まってしまいます。私は一流の歯科医師では有りません。一流で無いからこそ常に努力をして手技技術を習得し、その技術が錆びないように日頃から反復練習し、また拘って選んだ機材を手足のように使いこなせる様に、と考えています。

マイクロスコープのバーションアップ

1月8日〜9日に横浜でデンタルショーが有り、8日に行って来ました。今回の目的の一つがマイクロのオプションパーツの操作感を実感する事で、今まで要らないっ!と自分に言い聞かせていたのに、触っていたらやっぱり欲しくなってしまい、買ってしまいました(笑)
そして今日ペントロンジャパンの関根さんに来院して頂いて、そのオプションパーツを組み付けました。

装着前の素の状態がこちらで













全て組み込んだ状態がこちらです。
赤丸が付いた部品が追加したパーツになります。













歯の部位によっては微妙に届かない時も有ったので延長アームを装着し













鏡筒本体を傾けても接眼レンズが水平になるアングルローテーション機構を組み込み













アングルローテーション機構を組み込んだせいで鏡筒本体の重量バランスが崩れたので、その状態でもスムーズに鏡筒を動かせるようにバランスアームに取り替えました。













標準品は軸のネジ締め付けによる摩擦で固定しているので、バランスを欠いたオプション装着時に於いて鏡筒の角度を微調整しようとするとカクカクとした動きになりがちです。しかしバランスアームはスプリングの力で重量バランスを調整出来るので、固定ネジの締め付けを最小限にする事で非常に軽く動き、また止まって欲しい所で止まります。いずれ外付けのカメラを装着するつもりですが、その時には左右のバランスも崩れるので、更に優位性が出ると思います。

組み上がった状態で操作すると、思わず顔がニヤけてしまいます(^_^)
明日の診療が楽しみ♪

普段は千円のランチを躊躇するのに、仕事の道具になると衝動的にン十万円を出してしまう自分に笑ってしまいますが、酒は飲めない・タバコも吸わない・ゴルフは出来ない・女も出来ない人間なので、自分が楽しくストレスフリーの診療が出来るなら投資としては悪くないか…と自分に言い聞かせてます(笑)

2012年1月10日火曜日

a-dec(エーデック)のデンタルユニット

災害対策その1その2で述べたように、歯科用ユニット買い換えの際に十数社あるユニットメーカーから私はa-decを選択しました。a-decは日本では先生方にも名前すら知られておらず、日本のシェアは今でも多分2〜3パーセント位だと思います。しかしアメリカでは8割近くをa-decが占めており、また他社もa-decと互換性が無いと売れないほど浸透しています。

私も勧められてその名を知った時にも「何処の三流メーカー?」と聞き返した程でしたが、輸入元のエーデントのショールームへ行った時の感動は今でも鮮明に覚えています。

先ず気に入ったのが寝た時の心地良さ、そしてシンプルな作りによる故障率の低さ、重要な部品はプレスや板材等では無くキャストで製作するなど掛けるべき所にはしっかり費用が掛かっている、そしてインフェクションコントロール(感染予防)の考え方の先進性に惹かれ、カスケードを購入しました。

それから13年経とうとしていますが、ガタガタで辛うじて動いているのでは無く、未だにバリバリ現役です。 流石にシートの革部分が擦れてきたので診療所のリフォームを機に貼り替えましたが、軸のガタ等も感じられません。現在は後継の500シリーズが販売されていますが、カスケードが全く問題無く動いている為に買い換える事をためらっている状態です。(500の実機に触れると欲しくなるんですけどね)
一昨年の診療所リフォームで理想の空間を作る事が出来たのも、ユニットの買い換えを考慮に入れずに済んだ事で他に予算を回せた事が大きいです。エーデントの方にも未だ未だ使えると太鼓判を頂きましたし…。

インフェクションコントロールも国内メーカーの様に抗菌加工の素材を用いた外装では無く、通常の外装で価格を抑えて汚れてきたら交換の考え方、また外観も拭き上げ消毒がしやすい様にスムーズな形状をしており、デザインのためのデザインは有りません。ホース類も拭き上げしやすく、また防菌ビニールチューブを通しやすくするために蛇腹では無くスムーズな形状のホースが使われています。今日では似た様なコンセプトのユニットも見受けられますが、私が購入した頃には他に有りませんでした。

国産メーカーの様に新しい機種を手を替え品を替え毎年の様に発売し、法定耐用年数毎に買い換える事を否定はしません。しかし私は耐用年数が近づいた頃には陳腐化して機能もガタガタになる消耗品扱いより、品質が良く飽きが来ないモノを長く使いたい主義です。以前デンタルショーで、あるメーカーの営業マンに「ウチのサービスマンは全国に500人待機しているのでアフターフォローは完璧ですっ!」と言われ「500人雇うほど故障するんですか?」と聞き返したら黙られてしまった事が有ります。a-decを販売&メンテナンスしているエーデント社の社員は20人以下だったと思いますが、その人数で全国をフォロー出来るほど故障率が低いのです。最初に安く購入出来ても年間維持コストが高ければ数年で逆転します。因みに13年経った現在でも私のa-decの年間維持コストはタービンのベアリング等の消耗品を除けば、毎年末の保守点検費も含めて3万円/台は掛かっておりません。価格も国産中級機種と同程度ですからベラボーに高価では無いと思います。

先生方のユニット買い換えの際の参考になれば幸いです。

歯科診療の災害対策(その2)

その1に続き、今度は診療所の災害対策について述べていきます。

当院では診療所のユニットもa-dec(エーデック)を使用しています。











こちらはイスの上げ下げの為の油圧ポンプやライトを使用するため
電気も併用しますが、PAC-1と同じく主に圧縮空気で制御されています。
この事が災害時に於いては最大のメリットになっており、他社製品の様に
電気をバカ食いしないので、ユニット3台分とコンプレッサー1台の電気を
2kWの発電機2台で賄う事が充分可能です。
水もPAC-1同様、水道水とボトル水の2系統を切り替え可能にしているので
断水にも対応しています。

一昨年の診療所をリフォームした際に災害対応を考えてはいたのですが、
予算的に後回しにした為に後から追加出来る様に対策だけして
数年後に追加工事を行う予定でしたが、まさかリフォームして半年後に
このシステムが必要になるとは夢にも思っていませんでしたから、
某テレビ番組で紹介された時には電気とエアーのホースを診療室内に
引き込んでいました。

しかし現在では工事も完了して、電気のメイン回路とサブ回路をスイッチにて
切り替え、エアーも室外から別経路で供給出来る様に仕様変更していますので
もし停電が起きた場合でも3分ほどで診療復帰が可能になっています。
(発電機の始動と電気&エアー回路の切り替えがそれぞれ手動なので
大病院のように自動切り替えは出来ませんが…)

余談ですが、昨年の計画停電では私の地域は7回停電になりました。
しかし先の停電対策をしていたために通常通りの診療を行っていましたが
患者さんが停電=休診と思った方も多く、開店休業状態になったのも
今となっては懐かしい思い出です。

私は、診療所は患者さんの生命活動をサポートする場であり、災害時に於いても
少なくとも自分が担当している患者さんには対応できる様に予め対策しておく事が
責務と考えています。診療所リフォームで建物の耐震補強を行いましたし、
もし建物が危険な状態になっても何処かでPAC-1を広げて診療を続けられる様に
準備はしています。

2012年1月9日月曜日

歯科診療の災害対策(その1)

2011年11月20日のブログの追記に
「当院は災害対策済みの為、診療所の電気と水が止まっても治療可能になっており、
その他にも発電機用のガソリンとペットボトルの水が有れば、
何処にでも運んで通常時と同じ治療が出来る機材は整っております。」
と書いたところ、詳細を知りたいとのメールを同業の先生から頂いたので
今回はそれにお答えしたいと思います。

先ずは一番目の質問の「何処にでも運んで通常時と同じ治療が出来る機材」ですが
個人的に絶対必要と感じているのが携帯式の歯科用チェアです。














一般のデンタルチェアの様に、ほぼ水平位まで背もたれを倒す事が可能で、
またしっかりとしたヘッドレストが装着されています。幾ら携帯型のエンジンや
タービンを持っていても、患者さんのアタマが固定出来なければ通常と同じ診療は
出来ません。 使用後はこの様に折りたたむ事が可能です。













商品名は親しくお付き合いしている業者さんが探してくれたので
申し訳ありませんが判りません。入手希望の方は御連絡下さい。
===========
株式会社コマツ
埼玉県さいたま市南区白幡4-11-19
048-816-7800
簡易イス
===========
だそうです。

ユニットは米国a-dec(エーデック)社のPAC-1(パックワン)を使っています。

















私はこれを車いすの方が来院した時の治療用ユニットとしても使用するために
購入しましたが、本来は「いつでもどこでもそこが診療室」
(その気になればジャングルの中でも)
がコンセプトで、米軍や自衛隊でも使われています。
a-decは圧縮空気を利用して動くために、コンプレッサーとそれを動かす程度の
電気量を賄う小型の発電機(2kWクラスで充分)が有れば何処でも使用可能です。














また上の画像は後ろ側を撮影した画像ですが、水は左側のボトルを介して供給し、
口腔内の唾液等はエアバキュームにより吸い出され、右側のボトルに溜まる仕組みに
なっているため、通常診療をそのまま再現する事が可能です。

日本の各社でもポータブルユニットは有りますが、これらは訪問診療が目的である事
が多く、災害時に於いて通常診療と同じ体制を取る事は難しいと思います。
逆に言うとPAC-1を訪問診療で使用するには、訪問先で電気をお借り出来たとしても
コンプレッサーが絶対に必要な事とPAC-1が重量的に不利なため、携帯性は国産品
より劣ります。

診療所の災害対策については次のブログに続きます。

2012年1月2日月曜日

マイクロスコープとルーペの違い

以前にマイクロスコープとルーペを使用している事をお話ししました。
マイクロスコープとルーペは拡大して患部を見る機器という意味では
変わりは無いのですが、使用感は違います。














マイクロスコープは
  • ルーペより圧倒的な拡大率で患部を見る事が出来、また拡大率を変化させる事が出来る
  • 背筋を伸ばした姿勢で治療を行う事が出来るので、長時間の診療でも術者の首と腰の負担が軽減出来る
  • 術者が見ている像を静止画や動画で保存する事が出来るので、患者さんへの説明で治療内容を理解して貰いやすい
等の利点が有りますが、欠点として
  • 当院では固定設置しているので、マイクロを使える場所が限られる
  • 鏡筒が固定されているので患部を色々な方向から即座に見る事が出来ない
  • 患者さんが動いた場合にはその都度ピント合わせが必要なので、小児の治療には向かない
が有ります。














ルーペの利点・欠点はその逆になり、利点は
  • 気軽に持ち運びが出来るのでユニット間の移動が可能な事
  • 患部を様々な方向から即座に見る事が出来る事
ですが、欠点としては
  • 私が使用しているレンズがケプラー式なので一般的なガレリアン式より重く、目の前に装着する事による重量的なアンバランス
  • 下を向き続ける事
により長時間の治療では首が疲れる事を感じています。

しかし一般的なルーペでは欠点となる、明瞭な視野確保の問題は
(ユニットに設置しているライトや額部のライトで患部を見ると影が出るので
始終ライトを動かす事になる)
左右のレンズの間に光源を装着した事で、見たい方向と光軸が同軸になり、
マイクロスコープと同じ様に術野に影が出来る事が有りません。
また通常品のルーペにライトをクリップするタイプでは、ルーペを跳ね上げると
ライトも上を向いてしまい、明視野と暗視野を交互に見る事になりますが、
私が使っているルーペはライトが上を向かない(患部を照らし続ける)様に
改良しているので、CR充填の色合わせ等で拡大と肉眼を交互に見比べる時に
目が疲れにくい利点が有ります。
【注:同軸と跳ね上げ機能は個別には市販された物が有りますが
同時機能は個人的に改良を加えたので一般には売っていないと思います】

上記の事から私は根管治療や小さな虫歯、歯髄ギリギリの虫歯治療には
マイクロスコープを用いて
平行性を確認しながら削る事が必要な、ブリッジや被せ物の形成には
ルーペを用いる事が多いです。

では拡大治療に欠点は無いのでしょうか?
実は治療中は患部しか見えていないために患者さんが痛そうな顔をしたり、
軽く手を上げても私には全く見えないんですね。
ですので、拡大治療中に何かアピールしたい事が有った時には
大きく手を上げて貰う必要が有るのです。

余談ですが、私がルーペを使い始めた頃は先生方にも存在を知られて居らず
周りの先生に勧めても「まだ老眼じゃないから肉眼で充分」と言われたり
治療を始める際にルーペを被ると患者さんに「手術でも始まるんですかっ!」
と驚かれた事が何度も有り、懐かしく思い出されます。
これからは拡大治療が一般的になっていくと思います。
私はもう肉眼治療には戻れません。


P.S. これから拡大治療を考えている先生へ
私の正直な感想として2倍、2.5倍の倍率では肉眼と殆ど変わりません。
患者さんにパフォーマンスアピールは出来ても本当の拡大メリットは感じられません。
私がルーペを使い始めた時にガレリアンの2.5倍は購入後半日で慣れてしまい、
数日後に4倍を買い足しました。現在2.5倍は引き出しの奥で眠っており、
私には無駄な投資でした。またルーペにセットするライト(照明)は必需品です。
2.5倍でユニット備え付けの照明では肉眼治療と何ら変わりません。

それ以上の倍率になると被写界深度が浅くなり使い勝手が悪くなったので
それ以上の倍率を望む場合にはマイクロスコープをお勧めします。
またマイクロスコープには視度調整機能があるため、私のようにガチャ目だと
長時間の治療時には目の疲れが違います。

しかしマイクロスコープは
  • 治療中は前を向きながら手元を動かす動作なので、プリズム眼鏡を掛けて治療を行う様なイメージになる事
  • ミラーテクニックが必須である事
から使いこなす為には訓練が必要なために、ヘタをすると
高額な診療室のオブジェと化す可能性があるため、
ルーペから導入して拡大治療に馴染んでいくのも手だと思います。
ルーペは肉眼治療の延長なので導入のハードルは低いですし
今では数万円から入手出来ますから。
私がルーペを買った時は50万円近くしたのに…(; ;)ホロホロ