2013年5月23日木曜日

CGF(PRF)治療

顎骨が痩せている部位にインプラントを埋入するためにはGBRやサイナスリフト・ソケットリフト等の追加手術が必要になりますが、その際には母床骨にワザと小穴を空けて出血させ骨補填材と混ざり合う様な作業を行っていました。これは血液が傷口の治りを促進させ、また骨補填材が骨に置換するのを促進させる事が目的です。そしてこれには血液中の血小板が大きく係わってると言われます。では血液中の血小板を高濃度に抽出したものを使用すれば上記の効果が高まるのでは?と注目されるようになりました。これが数年前から聞かれるようになったPRP療法です。

これが出てきた時には骨再生治療の次世代に入ってきた!と思いましたね。だって自分の血液由来の材料で骨再生を促進させる事が出来たり、傷口の治りが早いと言う事は術後の痛みの軽減に繋がりますから。しかしこのPRP療法は自分の血液を用いて作りますが
  • ゲル化させるのにヒトやウシ由来のトロンビンと塩化カルシウムが必要なので、厳密には自己由来と言えない事
  • 精製する為の手順が煩雑で、これをインプラント治療と同時に行う事は私一人では無理だと感じた事
から導入には踏み切れませんでした。

しかし次世代の自己血由来のCGF治療は抗凝固剤等の添加物を使わずに血液を遠心分離に掛ける事で血小板濃縮フィブリンを抽出し、この凝固したフィブリンを様々な外科治療の際に用いる治療法です。


これは自己血のみという利点の他に
  • 精製の操作手順が簡単(採血後直ぐに2900rpmで13分間遠心分離して終了)
  • 血液を遠心分離さえしておけばある程度の時間内ならば凝固したままになるので、オペ前に精製しておける
  • ガラスの採血管内では凝固するがプラスチック管内では凝固しない性質を利用して、骨補填材の代用としてCGF単体で用いる・骨補填材と混ぜてゲル化させ補填材のハンドリングを向上させる・膜状に加工して吸収性メンブレンとして代用する等の応用範囲が広い
 が有るため、導入致しました。これは主にインプラント治療の追加手術の手段として用いる様に思われますが、親知らずを抜歯した際にも抜いた穴にCGFを入れておく事で傷の治りが早く、また痛みも少ないために有効と考えています。

自己血由来という事で採血が必要になる為にチクリとした痛みは伴いますが、 効果を考えると非常に有効と思います。またPRP治療に比べて導入コスト・ランニングコストが低いために患者さんに高額な治療を請求しなくて済みますね。因みに当院での治療費は10800円(税込み)です。