こんにちは。院長の佐藤です。
5月2日は「八十八夜」でしたが、
皆さんはどんな意味があるのかご存じですか?
「八十八夜」とは、
立春から数えて88日目のこと。
八十八という漢字を組み合わせると
『米』になることや
末広がりで縁起が良いとされる
『八』が重なることから
稲作をする人々にとても大切にされてきました。
お米は日本人にとって大切な主食の一つですが、
よく見ると「歯」という文字にも
「米」が含まれていますよね。
さて、稲の成長と同様、私たちの歯も
乳歯から「生え変わり」という形で
永久歯に成長します。
ところが、10人に1人程度の割合で
数本の永久歯が生えてこない方がいらっしゃいます。
このように
本来あるべき歯が生えてこないことを
『先天性欠如(せんてんせいけつじょ)』
と言います。
■先天性欠如が起きるしくみ
先天性欠如は、何らかの原因により
『歯胚(しはい)』が作られないことで起こります。
歯胚とは、歯のもととなる芽のこと。
この歯胚が作られるのは、
なんと生まれる前。
永久歯の歯胚ですら、
まだお母さんのお腹の中にいる、
胎生3か月半ごろに作られます。
そこから数年の時間をかけて
あごの骨の中で大きくなり、
やがて乳歯が抜け落ちたあとに
ようやく歯ぐきから顔を出します。
しかし、先天性欠如の場合は
そもそも歯胚がないため、
歯が生えてこないのです。
歯胚が作られない原因は、
・遺伝
・胎児の頃の栄養不足
・母体の全身疾患
・母体に対する薬の副作用
などと考えられていますが、
はっきりとした原因はわかっていません。
■先天性欠如が見つかったら…!?
「永久歯が生えないのなら
乳歯を一生使えるようにすれば…」
と思う方もいるかもしれませんが、
乳歯は歯の根っこが短く
抜けやすくなっています。
さらに永久歯と比べて
歯質(エナメル質など)が弱く、
歯の修復も遅いため、
むし歯の進行も早い傾向に。
そのため、
「乳歯を一生使い続ける」のは
残念ながら現実的ではありません。
ですが、
先天性欠如が見つかったとしても、
慌てる必要はありません。
先天性欠如は
・どこの歯が足りないか
・歯並びに影響が出ているか
など、お口の状態によって
治療方法が異なってきます。
ただ実際には、永久歯が少なくても
日常の食生活に大きな支障がなければ
治療を必要としない場合がほとんどです。
もし治療を要する場合は
他の歯への影響を考えながら、
あごの骨の成長に合わせて、
適切な時期に行う必要があります。
また、永久歯に先天性欠如があるかどうかは
7歳くらいからレントゲンを使って
判別することも可能です。
しかし、歯科に行く機会がないと
気付かないことも珍しくありません。
もし10歳を過ぎても
上下の前歯が4本ずつ揃っていない場合や、
中学3年生になっても乳歯が残っている場合は
ぜひ一度ご相談ください。
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