2015年9月6日日曜日

歯の神経を取ると言う事…

歯科医師として恥ずかしい話になりますが、先日の9月3日(木)に左下7番(一番奥の歯)を抜歯&インプラント埋入手術を施しました。当然自分では出来ないので、大学同期でインプラント医として一番信頼出来る、練馬区大泉学園にある井川歯科医院院長の井川淳一先生に執刀して貰いました。因みにインプラントは右下6番に続いて今回で2本目になります。

言い訳がましくなりますが、抜歯の理由は虫歯や歯周病では無く2本とも歯根破折が原因です。そしてその2本とも歯の神経(歯髄)を取った無髄歯です。その他は全て神経が有る有髄歯なので虫歯も含めてトラブルは25年以上有りませんが…。まぁ神経を取った(抜髄した)理由が1本は二十歳の頃に気が付かずに大きくなった虫歯が原因で激痛になった為と、もう1本がその奥の親知らずを抜いた後の予後が悪くて手前の歯に痛みが強く出た為にやむなく抜髄の憂き目に遭ったので偉そうな事は言えません…

今回も感じた事ですが、抜髄した無髄歯はやはり脆いと言う事です。自分でも自覚出来るほど睡眠中の食いしばりが強い人間でナイトガードを着用していますが、それでも今回の事故は防げませんでした。私は日頃から当院で治療を受けて頂いている患者さんにはお話ししていますが、歯の神経が有る有髄歯と取ってしまった無髄歯では歯の中の水の総分子間力に違いが出るので脆さに違いが出ますし、私の20年以上の経験則でも同一条件下では無髄歯の方が寿命は短い気がします。

ですから、なるべく抜髄処置はしないに限ります。痛みが出そうだから神経を取る…のでは無く、抜髄するのは強い痛みが出てからでも遅くない、と個人的には考えています。痛みを全く感じずにダメになってしまう事も有りますが、その場合には電気歯髄診断器でチェックすれば判ります。虫歯を取り除いている時に歯髄が露出しても炎症反応が無ければMTAセメントを使ったり水酸化カルシウムを使ったり、と昔より歯髄を残せる技術は上がってますし、マイクロスコープやルーペを使う事で虫歯に侵された部位がハッキリ見える様になってきたのでギリギリを攻められる様になってます。だからカンタンに抜髄処置を選択しないで欲しいのです。コゾーだった頃の私の様にカンタンに決断しないで欲しいのです。

本音を言えば抜髄するような虫歯で無くても虫歯を作る事自体が問題なので、やはり歯科医療の究極は【治療】では無く【予防】なんですね。また予防は歯周病の悪化を防ぐ為にも重要な事ですから定期チェックは意味が有るんです。痛くなったら歯医者…、では何時まで経っても本当の口福が味わえませんよ。